使われていない住宅に自治体が独自に課税する、いわゆる「空き家税」の動きが加速しています。先行する京都市に続き、2026年6月には大阪府寝屋川市で市内全域を対象とする条例が成立しました。
関東で空き家税の導入を決めた自治体はまだありませんが、空き家の増加は全国で進んでおり、追随の可能性は決してゼロではありません。
京都市に続き寝屋川市でも。広がる「空き家税」

「空き家税」とは、通常の固定資産税とは別に、自治体が独自に空き家へ課す税金の通称です。現時点で導入を決めているのは京都市と寝屋川市の2市ですが、両者は制度設計が異なります。それぞれの内容を見ていきましょう。
全国初の法定外税の導入が決定した京都市
京都市の「非居住住宅利活用促進税」は、居住実態のない住宅に固定資産税とは別枠で課税する全国初の法定外税です。2023年に総務大臣の同意を得て制度化されており、課税開始は2030年度の予定です。当初はもっと早い開始が見込まれていましたが、システム開発の影響などで延期された経緯があります。
対象は市街化区域内の非居住住宅で、空き家だけでなく別荘なども課税の対象になり得ます。税額は物件によりますが、現在の固定資産税の半額程度が上乗せされるイメージとされており、相続で空き家になった場合は発生から3年間の徴収猶予といった配慮も設けられています。
寝屋川市は市内全域が対象

一方の寝屋川市は、賃貸にも売却にも出されていない「使い道のない空き家」を対象に、固定資産税に一定割合を上乗せする仕組みを採用しました。市街化区域に限定した京都市と異なり、市内全域を対象とする点で一歩踏み込んだ制度といえるでしょう。寝屋川市は、京都市より一足早い2029年度の課税開始を目指しています。
いずれも狙いは税収の確保ではなく、所有者に売却や賃貸といった「行動」を促し、空き家を市場に流通させることにあります。
空き家問題は首都圏でも「他人事」ではない
空き家問題は、もはや地方だけの課題ではありません。総務省の住宅・土地統計調査(2023年)によれば、全国の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%と過去最高を更新しました。首都圏でも、相続した実家を使う予定のないまま持ち続けている世帯は少なくありません。
東京都に目を向けると、空き家率は10.9%と全国平均を下回るものの、空き家の数は約90万戸と全国で最も多く、この30年で約1.7倍に増えています。京都市や寝屋川市の制度が空き家の流通促進に効果を上げれば、同じ課題を抱える自治体が同様の税制を検討する展開も十分に考えられます。
導入が決まってからでは遅い?供給過多による値崩れリスク
空き家税などが導入された場合、懸念されるのが売却の集中です。課税を避けたい所有者が一斉に売却へ動けば、その地域の中古市場には短期間で物件があふれます。需要が急に増えるわけではないため、供給過多となり、価格には下押し圧力がかかりやすくなるでしょう。
とくに駅から距離のある戸建てや旧耐震基準の物件、管理不全に陥っているマンションなど、もともと買い手が限られる住宅は、値崩れの影響を正面から受けかねません。「売ろうと思ったときには、想定よりかなり安くしないと売れない」という事態も起こり得ます。
まずは査定で「資産価値の現在地」を知る
空き家の多くは、かつて自分が住んでいた家や両親が暮らしていた実家です。慌てて手放す必要はありませんが、こうした税制の動きや値崩れのリスクを踏まえると、判断材料として「今、自分の空き家がいくらで売れるのか」を把握しておく意義は大きいでしょう。
すでに、放置された空き家への課税強化は空き家税を待たず全国でスタートしています。空き家をめぐる法律や自治体の動きを注視しつつ、まずは一度、査定で資産価値の現在地を確かめてみてはいかがでしょうか。


